【アジア横断世界旅】ミャンマー カックー遺跡へ
カックー遺跡を目指して
朝、ニャウンシェのゲストハウスを出てカックー遺跡へ向かうことに決めた。
ニャウンシェからカックー遺跡へは70km近くある。
インレー湖を南に行くルートで目指すことにした。
もちろん自分はツアー嫌いなのでバイクを借りることにした。
日本にいたときはバイクを一度も乗ったことがなかった。
車の講習のときに原付き講習があったが、それさえも受けていなかった。
だから僕はベトナムではじめてバイクデビューを果たした。
はじめは怖かったが、走り出してしまえばもう怖いものはない。
しかし、慣れてきた頃が一番気をつけなければならないのだ。
ゲストハウス近くのレンタルバイク屋さんでバイクを借りた。
アジア圏のレンタルバイクは、はじめに燃料が抜かれているので、まずガソリンスタンドに行かなければならない。
ミャンマーは95と92の燃料がある。
どっちかわからない。。。
店員はどっちか聞いてきたが、わからないでの適当にいれてもらった。
田舎のガソリンスタンドで働くミャンマー人に悪い人がいるはずがない。彼らを100%信頼していれば問題はない。
ミャンマーとはそういう国でみんなやさしいのだ。
いざ、カックー遺跡へむけて走り出す。
日本の70kmの距離は遠い感じがするが、旅中の70kmは日本の3kmほどに感じられる。
今、この状態において、もはやホームは日本ではない。
あまりにも離れすぎていて、ホームの座標軸を失っているのだ。
ホームに対する自分から解放されている。
自分がいる今この場所がすべての中心地点なのだ。
だからどこへ行っても無敵だし、距離を感じないのだ。
そんな風に思っていると、
前から大量の牛が迫ってきた。
そして隣には積載オーバーの日本製のケートラが走ってくる。
この牛たちは僕がたどってきた道を行き、僕は彼らがたどってきた道を行く。
この瞬間、どちらかが道を譲らなければ、お互いが衝突を起こすことになるだろう。
もちろんこんなところで、その後の生命に関わる衝突をするわけにはいかない。
戦いに破れた平氏の目の前には新たなる敵があらわれた。
今度は楽勝だ。
敵はのんきにミチクサを食ってやがる。
僕は、この勝ち戦に余裕でウエハースをかじりながらバイクをぶっ飛ばした。
しかし、その瞬間!
ズゴゴゴォォォぉぉおおおおお!!
やった、、、
圧倒的勝利を目の前に大敗を喫した。
この旅、お気に入りのユニクロ製シャワシャワズボンに穴を開けてしまった。
そして幼い頃に割と激しめにコケたあの感じくらいに手足を擦りむいて血が出ていた。
昔なら泣きじゃくってお母さんにナグさめられることができたが、今の自分の姿は落ち武者同然だった。
アスファルトの道路で甘々に飼いならされた日本人にはミャンマーのカントリーロードは少々手厳しいものだったようだ。
タイヤと地面の間に砂が入り、緩やかなカーブに差し掛かったところで、敵は道を開けて待っていた。
僕は完全に敵の図中にハマったのだ。
若干のテンションの落ち込みはあったものの、無事カックー遺跡に到着した。
こんなところにパゴダが密集しているだなんて、、、
天に向かうような気分。
この瞬間、足の痛みも何もかも忘れ、空と自分とパゴダがただ存在するだけだった。
さて帰ろう。
夕日はいつでも帰る場所を思い出させてくれる。