【ミャンマーでヒッチハイク】ニャウンシェからカローへ
カローへ
ヒッチハイクなんて無縁なものだと思っていた。
しかし旅をしていると、そんな無縁なものと近づける力が働くのだ。
なぜカローという地を目指しているのか。
その訳は、タイで日本人のバックパッカーに出会い、ミャンマーのカローでトレッキングをすると聞いたからだ。
行きあたりばったりの放浪旅では、人との出会いが行き先を決めることとなる。
トレッキングも人生初。
前も後ろも気にしなくていい毎日では、何でもできる気がした。
まずはニャウンシェからカローへ向かう。
60kmの道のりをさあ、どうやっていこうか。。
昨晩、インスタグラムで同じ時期に旅をしている人がヒッチハイクをしていることを知った。
「自分でもできるかもしれない。」
そんな旅の無敵感を味方に、バックパックを背負い、路上へむかった。
とりあえずカローに向かって歩き出す。
街中には、客探しのタクシーや、バイタクのおっちゃんが暇そうにしている。
それらの呼びかけを交わし、歩いていく。
車の量はそう多くはない。
常に後ろを気にしながら、タイミングを伺う。
1台、2台と手を伸ばしたが、止まってくれず、10台ほど通り過ぎたところで、1台の人を乗せたトラックが停まってくれた。
人生初のヒッチハイクはあたたかかった。
この家族に途中まで乗せてもらった。
ヒッチハイクはヒッチハイカーよりも乗せてあげる人のほうがすごいと感じた。
僕はその優しさを受け取るだけなのだ。
カローまで半分ほどの距離で彼らにお礼をして、お別れをした。
2台目
さっきよりも大通りへ出た。乗せてくれた家族もしばらく、次の車を捕まえようと一緒に手を伸ばしてくれた。
しかし、なかなか捕まらなかった。
別れを告げ、僕はまた歩き出した。
なるべく車が止まりやすそうなところまで歩いていく。
バックパックは合計30キロ近くあり、長い距離を歩くのはしんどい。
道路が広くなっとところを見つけ、30分くらい手を伸ばしていると、1台のバイクに乗ったおっちゃんが止まってくれた。
僕は「カロー?」と言い、おっちゃんは笑顔で後ろに乗れと言った。
なんて優しいんだ。
僕が大荷物にも関わらず、当たり前のように乗せてくれた。
パンク
おっちゃんは、カロー手前の街でいったん止まって、誰かに話しをして、再びカロ−に向けて走り出した。
そしてあと5キロほどとなったとき、急にスピードが落ちた。
おっちゃんは、バイクを止め、僕に降りるよう言った。
パンクだった。
間違いなく、僕と荷物の重みでタイヤが耐えられなかったに違いない。
申し訳ない気持ちだった。
おっちゃんは笑顔だった。
僕とおっちゃんは歩いて、しばらくすると修理屋さんがあった。
おっちゃんに悪いので、修理代は出すと言った。
しかし、おっちゃんはいいよとまた笑顔でそう言った。
カロー到着
おっちゃんは、僕をここまで届けてくれた。
そしてなんと来た道を引き返して行ったのだ。
おそらく、わざわざ僕のためにここまで来てくれたのだ。
さっきの手前の街がおっちゃんの目的地だったのだろう。
パンクまでさせて、本当に感謝しかない。
ヒッチハイクとは
ヒッチハイクは普通の移動では感じられないものを体感できる。
人の親切心だったり愛など。
人が人を運ぶというのは、本当はめちゃくちゃすばらしいことなんだ。
便利になった社会ではそんなことを忘れてしまう。
お金を払えば、勝手にチケットが出てくるし、当たり前のように移動ができる。
でもそのタイヤは誰かが作っているし、その道路も、車も、バイクもパンクを修理する人もすべては誰かの働きによるものだ。
それを忘れずにいたい。
今日はぐっすり眠れそうだ。